わたしは現在、低用量ピルを服用しています。
ピルを服用している方なら、血栓症の副作用があるということをご存知だと思いますが、わたしは服用を始めてから1か月が経過したころに、「血栓症ではないか!?」と思う症状が突然現れました。
薬を服用していると副作用が心配になることがありますよね。
だけど、副作用があることは知っていても、どんな症状が出るのかよくわからなかったり、何かいつもと様子が違う…と思っても、受診すべきかどうかが判断ができないということもあるのではないでしょうか?
今回は、血栓症かもと思ったらどうすればいいのか?その対応について、実際わたしが血栓症を疑って受診したときの話をご紹介します。
ピルを服用している方や服用を始めた方、またはこれから服用するかもしれない方へ向けて、ご参考になればと思います。
循環器科を受診したときの話
血栓症を疑った症状
ある日突然「ふくらはぎの痛みと胸痛」があらわれました。
ちょうどピルを飲み始めてから1か月くらい…
これはまさかピルの副作用ではないか!?
血栓症だったらヤバイ!!
しばらく様子をみようか迷いましたが、念のためにと思って受診することにしました。
こういった場合、何科に行けばいいのかわからなかったので調べると、循環器科がいいようだったので、近くの循環器科のクリニックを受診しました。
ふくらはぎの痛みと胸痛があることに加え、低用量ピルを服用しており、その副作用である血栓症ではないかと心配で受診したということを伝えました。
肺塞栓症と深部静脈血栓症
わたしの訴えた症状から「肺塞栓症、深部静脈血栓症」が疑われました。
肺塞栓症は肺動脈に血栓が詰まる病気のことで、場合によっては致死的な状況にもなりえます。
その原因となるのが、深部静脈血栓症です。
深部静脈血栓症は、主に足の静脈内に血栓が生じて、足の痛みや腫れ、発赤があらわれることがあります。
この血栓が血流にのって肺まで流れていき、肺の血管をふさいでしまうと、肺塞栓症を引き起こします。
肺塞栓症の症状は主に息苦しさと胸痛です。
受けた検査
- 胸部レントゲン
- 心電図
- 血液検査
- 動脈血酸素飽和度(SpO2)
- 下肢静脈エコー検査
動脈血酸素飽和度(SpO₂)
指先に洗濯バサミのような装置をはさんで測定します。
動脈に含まれる酸素(O₂)の飽和度のことで、実際にどの程度の酸素を運べているかを意味しています。
酸素飽和度(SpO₂)は肺や心臓の病気で酸素を体内に取り込む力が落ちてくると数値が下がります。
一般的に標準値は96~99%
わたしは98%だったと思います。
血液検査(D-ダイマー)
D-ダイマーは血栓症の診断に用いられます。
血栓塞栓症があれば異常値を示します。
基準値は0.5μg/mL以下
わたしは0.41μg/mLでした。
下肢静脈エコー検査
超音波をあてて血流の様子を映し出して、足の静脈に血栓がないか調べることができます。
ふくらはぎに痛みがあったので、検査を提案されて後日受けました。
ふくらはぎから太もも、さらに下腹部までをチェックされました。
検査の所要時間は15~30分くらいで、意外と時間がかかりました。
検査の結果
検査の結果から異常はみられず、とくに胸部レントゲンに肺血栓塞栓症の所見がみられないことと、D-ダイマーの数値からも緊急に対応しなければならない状況ではない、という説明を受けました。
ただ、下肢静脈エコー検査の結果、両足のひざの裏に一部血栓の疑いがあると言われました。
しかし、ひざより上に血栓がある場合はそれが肺に飛んで肺塞栓症になる可能性が高いけれど、ひざより下であればその心配はほとんどなく、痛みがひどい場合は薬を服用することも考慮するようでしたが、わたしの場合、痛みはもうほとんどなかったので、このまま経過観察することになりました。
その後、婦人科を受診したときに、この件を婦人科の先生にも報告しました。
ピルを中止するような話にもなったんですが、結局、継続することを選びました。
そのため、現在も定期的に循環器科にも受診し、血液検査を受けています。
ピルの副作用である血栓症の早期発見と早期対応
ピルの副作用である血栓症は、服用を始めてとくに3か月以内に起こりやすいといわれています。
注意すべき症状を理解する
緊急の対応が必要な血栓症の主な症状
次のような症状があらわれた場合は、すぐに救急医療機関を受診してください。
- 突然の足の痛み・腫れ
- 手足の脱力・まひ
- 突然の息切れ、押しつぶされるような胸の痛み
- 激しい頭痛、舌のもつれ・しゃべりにくい
- 突然の視力障害(見えにくいところがある、視野が狭くなる) など
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血栓症が疑われる症状
次のような症状があらわれた場合は、血栓症の疑いがあります。
症状が軽くても飲むのをやめてすぐに医師に相談してください。
足の痛み・腫れ・しびれ・発赤・ほてり、頭痛、嘔吐(おうと)・吐き気 など
出典:ヤーズフレックス配合錠 患者携帯カード
血栓症のリスクが高まる状態
次のような状態になった場合、飲むのをやめてすぐに医師に相談してください。
体を動かせない、脱水 など
出典:ヤーズフレックス配合錠 患者携帯カード
血栓症を予防するためにできること
- よく歩く
- 座りっぱなしを避けて、こまめに動く
- マッサージやエクササイズ
- 水分をこまめにとる
- お酒の飲みすぎに注意
最後に
副作用のことばかり考えると服用が怖くなってしまいますが、血栓症は服用すれば必ず起こるという副作用ではありません。
副作用などのデメリットよりも、服用することで得られるメリットの方がはるかに大きいので、処方されていると思います。
低用量ピルの血栓症の副作用のリスクは、服用していない人に比べればリスクは上がりますが、妊娠中や出産後に比べるとその発症リスクはかなり低いと言われています。
つまり、低用量ピルを服用して血栓症が起こる確率よりも、妊娠中や出産後の方が血栓症を起こす確率が高いということです。
もし、何か気になる症状があらわれた場合は、放置せず受診することが大切です。
わたしのような症状の場合は循環器科、頭痛や吐き気などは脳外科でいいと思いますし、わからなければ処方医の先生に相談すればいいと思います。
また、何か体調不良で医療機関を受診したときは、関係ないと思っても、必ずピルを服用していることも伝えるべきだと思います。
副作用をきちんと理解して、不安なく、より安全に薬を服用していきましょう。
ご参考になれば幸いです。
久保惠嗣「肺血栓塞栓症」医学書院 『今日の治療指針 2010年版』、p256
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